ロボット掃除機が部屋中を移動しても迷子にならず、きちんと元の場所へ戻っていく様子を見て、「どうして自分の位置が分かるのだろう?」と不思議に感じたことはありませんか。その答えとなる技術が SLAM(スラム) です。本記事では、SLAMとは何か、そしてロボット掃除機が自己位置を見失わずに動き続けられる理由を、できるだけ分かりやすく解説します。
SLAMとは何か
SLAMは Simultaneous Localization and Mapping の略で、日本語では「自己位置推定と地図作成を同時に行う技術」と訳されます。ロボット掃除機はあらかじめ部屋の地図を持っているわけではありません。掃除を始めた瞬間は、自分がどこにいるのか、部屋がどんな形なのかも分からない状態です。
SLAMは、
- 自分が今どこにいるのか(自己位置推定)
- 周囲の環境がどうなっているのか(地図作成)

この2つを同時に進めることで、ロボットが迷わず動けるようにします。
ロボット掃除機はどうやって自己位置を把握しているのか
ロボット掃除機は、複数のセンサー情報を組み合わせて自己位置を推定しています。
まず、LiDARやカメラ、赤外線センサーなどで周囲の壁や家具との距離を測定します。次に、車輪の回転数や進行方向といった移動量の情報を使い、「直前の位置からどれくらい移動したか」を計算します。
これらの情報を積み重ねることで、「この壁の形はさっき見たものと同じだから、今はこのあたりにいるはずだ」と判断し、自己位置を更新していきます。
なぜ自己位置はズレてしまうのか
実は、ロボット掃除機の自己位置推定は、何もしなければ少しずつズレていきます。床の滑りや段差、カーペットによる抵抗の違いなどが原因で、車輪の回転数だけでは正確な移動距離を測れないからです。
このズレを放置すると、地図と実際の位置が合わなくなり、壁にぶつかったり、同じ場所を何度も掃除したりしてしまいます。
SLAMは、このズレを補正するために、周囲の環境情報を常に照合しています。壁や家具といった「動かない目印」を基準にすることで、位置の誤差を修正しているのです。

SLAMが地図を作りながら位置を補正する仕組み
SLAMでは、ロボットが移動するたびに「今見えている景色」と「すでに作られた地図」を照らし合わせます。もし、想定していた位置と実際のセンサー情報にズレがあれば、その場で自己位置を修正します。
この処理が高速で繰り返されることで、ロボットは掃除中も自分の位置を見失わずに動き続けることができます。人間が部屋の中を歩くとき、壁やドアの位置を無意識に目印にしているのと、考え方はよく似ています。
SLAMがあるからできる便利な機能
SLAMによって正確な自己位置が分かるからこそ、ロボット掃除機は高度な機能を実現できます。
・部屋ごとの掃除指定
・掃除済みエリアと未掃除エリアの判別
・効率的な掃除ルートの生成
・途中で充電しても同じ場所から再開
これらはすべて、ロボットが「今どこにいるか」を正しく理解しているから可能になります。
SLAMとLiDARの関係
SLAMは考え方やアルゴリズムを指す言葉であり、LiDARはそのための情報を集める手段の一つです。LiDARによって得られる高精度な距離情報は、SLAMとの相性が非常に良く、安定した自己位置推定と地図作成を可能にします。
そのため、多くの高性能ロボット掃除機では「LiDAR+SLAM」の組み合わせが採用されています。
まとめ
SLAMは、ロボット掃除機が自己位置を見失わずに動き続けるための中核技術です。移動量の誤差を環境情報で補正しながら、地図作成と自己位置推定を同時に行うことで、賢く効率的な掃除を実現しています。
ロボット掃除機が迷わず部屋を動き回り、掃除を終えてきちんと戻ってくるのは、SLAMという技術が裏で働いているからです。LiDARと組み合わさることで、SLAMは今後もスマートホームを支える重要な基盤技術であり続けるでしょう。




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